予備試験

予備・司法試験予備校初学者は論点主義に陥りがちである

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こんにちは、今回はつい最近まで僕も勘違いしていた論点主義についてお話しようと思います。幸い早い段階で気付けたのが良かったと思っています。論証集を暗記すれば合格するんでしょ!と思っている方要注意です。

論点主義とは

論点主義とは論文問題を解くときに事前に暗記した論証の論点を吐き出そうとして、論点のみを追い求めてしまう思考を指します。僕もつい最近までまさしくこの考え方で問題を解いていました。ただこの考え方では条文を軽視してしまう上に、解いていてどうしても論点主義の限界を感じました。

条文文言への適用軽視

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まずなぜ条文を軽視してしまうかというと論証集で自分で覚えた論点知識をとにかく出そうとするあまり前提となる条文適用を疎かにしてしまうのです。

そもそも条文の文言を適用する過程で争点が生まれるはずなのに、知っている論証を出そう出そうとするあまり前提条件をすっ飛ばして突然論点が現れてしまうのです。条文を適用する過程で初めて論証の効力が発揮されるにも関わらずついつい知識を披露したいという気持ちが先行してしまうのです。これは大きな誤りです。

条文を軽視していることに気づいたのは予備試験や司法試験の再現答案を読んだときに、合格者の答案は全員前提となる条文の文言への適用を疎かにしていなかったからです。ちなみに過去問演習はアガルートの過去問解析講座を使用しています。出題趣旨や採点実感を踏まえた分かりやすい解説が魅力です。

論点主義の限界

論点主義には限界があると感じたと述べましたが、これも過去問演習に入ったことがきっかけで気づきました。予備試験や司法試験の問題を解いてみると、ほぼ間違いなく事前に覚えた論証集には載っていない論点が出題されていたからです。

もちろん論証集に載っている典型論点も出題されるのですが、それ以外の現場思考問題が一問は出題されています(特に新司法試験)。典型論点問題が解けるのはもちろんのこと、それに加えて未知の問題に出くわしたときに条文を手掛かりに、該当条文の趣旨から規範を立てて要件にあてはめていく訓練も必要だと感じました。

典型論点の場合論証の効力が存分に発揮されますが、試験問題の全てが典型論点から出題されるとは限りません。論証を覚えることは大切ですが、論証集の論点を覚えれば合格できると勘違いしていた自分が恥ずかしいです。

なぜ論点主義に陥るのか

予備校講義の内容は当然論点に関する解説が優先されます。争点となる部分なのでもちろん解説を聞くことによって理解が深まります。独学ではこんな短期間で全科目の範囲を把握することはできないのでやはりアガルートなどの予備校の基礎講義は重要であることには変わりはありません。

しかし問題演習をしないまま、ただ講義を受けるというインプットのみを続けていると問題を解くにあたってどのような流れでその論点にたどり着くのか?そもそも何条に関する論点なのか?ということが分からないまま論点名のみが記憶されてしまいます。

講師は講義で前提となる条文の文言への適用や争点となる過程を説明をしているのですが、やはりメインは論点の解説なのでついついそちらのみに注目してしまいます。そのためいざ問題を解いてみると、どの条文に該当しどんな過程を経てその論点が問題となるかが分からないのです。

なので予備校講義を受けるというインプットと並行してして問題演習というアウトプットをすることにより適切な理解ができるようになると思います。

勉強をしているとついつい法律学習の基本を忘れてしまうことがあります。法律は常に条文が出発点であるにも関わらず、つい知っている知識を出そうとするあまり要件効果を忘れてしまいます。自分も含め条文の文言への適用を軽視してしまっていた人はいま一度条文の重要性を再確認しましょう。

条文の重要性

論文試験で使える道具は六法だけです。そして六法に記載されているのは条文です。僕はこんな基本的なことすら忘れてとにかく論証集の知識を詰めることに集中していました。論証を覚えれば論文が書けるのでそれでいいじゃん!とさえ思っていました。さらには論証集の論証をほぼ丸暗記しようとしていました。

なので学習の初期はまともに六法を引いていませんでした。典型的な基本条文すら分からないという状態でした。

しかし、問題演習をする過程で条文の重要性と論証の丸暗記に限界があるこたに気づき勉強法を修正しました。論文試験で使える唯一の手掛かりが六法である以上は条文を中心に考え問題を解こうと思います。

また新司法試験の出題趣旨や採点実感にも適用条文の引用の必要性や事実を文言へ適用することへの重要性が述べられています。採点側がこのように述べていることからして、試験で得点を取るためには条文文言は重要です。

要件検討の際に争点となる部分を予め論証として覚えることは試験時間内に答案を書き終わるという観点からして有益であることには変わりはませんが、前提となる要件検討への意識も忘れないようしましょう。

条文適用→論証

これまで条文の文言に適用する過程で論点が出てくると述べてきましたが、具体例を用いて説明していきます。

例えば物上保証人の時効援用の可否に関する論点の問題があったとします。つい最近までの僕だったなら、突然物上保証人は時効援用ができるかと問題提起をし、論証集で学んだことをそのまま書いていました。しかしこれではおそらくあまり点数が付きません。

合格者の人の答案を見るとこんなめちゃくちゃな答案の書き方はしていません。まず請求原因が何なのか確定してからそれを根拠に請求を主張します(所有権に基づく〇〇〇〇請求など)。そして相手方の抗弁を書くなどして要件事実的な攻撃防御方法が分かる答案が書ければ理想ですが、現在勉強中なので今回は省きます。今回重要なことは条文の文言への適用なのでそれをメインにお伝えします。

まず時効援用に関する条文は民法145条に規定されているので当該条文を指摘します。そして時効完成に関しては民法167条1項に規定されているので条文文言に事実をあてはめようとすると「当事者」という文言に物上保証人が該当するかという争点が生じます。ここで初めて論証の出番となるのです。

予備校だけで学習しているとついつい陥りやすある論点主義ですが、合格者の再現答案や模範答案を参考に条文を中心に考えるという大原則を忘れずに学習していこうと思います。

センスの良い答案とは

ある合格者に自分の答案を添削してもらえる機会があったので添削してもらったら、「君の答案は丁寧だけどメリハリがない。」とはっきり言われてしまいました。最初はメリハリって何?と思ったのですが、理由を聞くと納得できました。

ここまで条文の文言への適用の重要性を述べてきました。ただここで混乱するかもしれないことを言います。条文の文言への要件検討はすべて満たさなければ効果が発生しません。

ただ当たり前に成立する場合は、丁寧に逐一あてはめるのではなくシンプルにサラッと触れる程度でなければならず、逆に丁寧に逐一細かな事実まで拾っていたら採点側にとっては印象は良くないようです。

僕はどの文言にもとにかく丁寧にあてはめて答案を作成していました。しかしこれではとにかく丁寧にあてはめる分時間がかかってしまい、出題者が特に厚くあてはめてほしい部分に対する残り時間が確保できず結果的にその部分も薄いあてはめになってしまっていたのです。その結果僕の答案は全体的にあてはめの薄いメリハリのない答案になってしまっていたようです。

センスの良い答案は主な争点に対しては問題文から使える事実をたくさん拾い厚いあてはめがなされており、逆に当然に成立する要件については短くシンプルにあてはめがなされているという両者のメリハリがしっかりなされている答案なようです。

なので争点がなければシンプルにあてはめ、あてはめの事実がたくさんあるような部分に紙面を割いてしっかりあてはめるなどの答案作法が今後の自分の課題なようです。ただここで注意することはシンプルにサラッとでもよいので当然成立することに対しても条文文言への適用は忘れてはいけません。間違っても省いてはいけないということです。

まとめ

・論証集も大事だが条文を軽視してはいけない

・まずは条文の文言にあてはめ、その過程で論点が生じる

・論文試験で頼ることのできる唯一の手掛かりが六法(条文)

・メリハリの効いた答案が理想的

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